はじめに
夢のマイホーム、ピカピカのマンション。
最高の眺め、最新のキッチン、そして自分だけの安らぎの空間。
でも、そんな素敵なマンション暮らしで、実は、誰もが避けては通れないのが、住民同士のささいなトラブルです。
「これくらい、大丈夫だろう」
そう思ったほんの少しの勘違いが、後々大きな問題に発展してしまうことも、少なくないんですよね。
こんにちは!あなたのマンションライフを応援する、しおうです。
この記事では、マンションでよくあるトラブルをランキング形式でご紹介します。
そしてそのトラブルのほとんどが、「境界線」が曖昧になっていることから起きています。
この記事を読み終える頃、あなたはどんなトラブルにも動じない、賢い「城主」になっているはずですよ。
全てのトラブルの根源。「境界線」の話
さて、これから“あるある”トラブルを見ていく前に、まず、その全てのトラブルの根源となる、一番大事なルールをお話しします。
それは「どこまでが、自分のもの(専有部分)で、どこからがみんなのもの(共用部分)なのか」という、境界線の問題です。
- 【専有部分】とは?
ひと言で言えば、「あなた“だけ”が、所有している、あなたの“部屋の中”」のことです。壁紙を張り替えようが、どんな家具を置こうが、基本的にはあなたの自由です。 - 【共用部分】とは?
「住民みんなでお金を出し合って、所有している、みんなの“広場”」のことです。廊下、エレベーター、エントランスはもちろん、実は、あなたの部屋の「窓ガラス」や「ベランダ」も、この共用部分に含まれるんですよ。
このたった二つの区別を心に留めておくだけで、これからお話しするトラブルの「なぜ?」が、驚くほどスッキリと理解できるはずです。
これを、覚えておけば大丈夫!マンション“あるある”トラブル事件簿
実際にどんなトラブルが多いのでしょうか。ランキング形式で見ていきましょう。
事件ファイルNo.1:『音』のトラブル
- 【どんなトラブル?】
「上の階のお子様の足音が、少しだけ気になる…」
「隣の部屋の、深夜の洗濯機の音が…」
一番多く、そして一番デリケートなのが、この「生活音」をめぐる問題です。 - 【どう解決する?】
まず絶対にやってはいけないのが、あなたが直接、相手の部屋に言いに行くこと。感情的な対立になりやすく、問題をもっとこじらせてしまう原因になります。
一番の近道は、マンションの「管理組合」または「管理会社」に相談することです。
その際、「いつ、どんな音が、どのくらい続くのか」を、簡単なメモでもいいので、記録しておくと話がスムーズに進みますよ。
事件ファイルNo.2:『共用部分』の私物
- 【どんなトラブル?】
「共用廊下に、いつもベビーカーや、自転車が置いてあって、少し通りにくい…」
「アルコーブ(玄関前の、少しへこんだスペース)に、個人の荷物を置いてもいいのかな?」
これも本当によくあるトラブルの一つです。 - 【どう解決する?】
もうお分かりですね。廊下やアルコーブ(玄関前の少しへこんだスペース)も「共用部分」です。
これも答えはシンプルです。まずは「管理組合」に、相談しましょう。
共用部分の使い方のルールは、マンションの「管理規約」という、一番大事なルールでちゃんと定められています。そのルールに基づいて、管理組合が貼り紙などで注意を促してくれるはずです。
※アルコーブは規約によって専用使用権が定められていることもあります。
事件ファイルNo.3:『駐車場』や『駐輪場』のルール違反
- 【どんなトラブル?】
「決められた場所以外に、車や自転車が停まっている…」
「来客用の駐車場を、いつも同じ人が使っている…」
これも毎日のことだからこそ、ストレスが溜まりやすい問題ですよね。 - 【どう解決する?】
これも、まずは「管理組合」に、報告・相談です。
駐車場や駐輪場の使い方も、必ず「使用細則」という、細かいルールブックで、ルールが決まっています。そのルールに沿って、管理組合が、毅然とした態度で、対応してくれるはずです。
事件ファイルNo.4:『ゴミ置き場の、ルール違反』
- 【どんなトラブル?】「決められた曜日じゃない日に、ゴミが出されている…」 「分別がめちゃくちゃ。カラスが荒らして、いつも悲惨な状態に…」 「シールも貼らずに、古い家具(粗大ゴミ)がずっと放置されている…」これも、本当によくある、そしてマンション全体の資産価値を下げてしまう、深刻な問題です。
- 【どう解決する?】ゴミ置き場も、もちろん「共用部分」です。これも、答えはシンプルです。まずは「管理組合」に、報告・相談しましょう。ゴミ出しのルールは、自治体のルールであると同時に、マンションの「管理規約」や「使用細則」でも、必ず定められています。 管理組合は、そのルールに基づいて、
- 全戸に、改めてルールを記載した「お知らせ」を配布するゴミ置き場に、イラストや、外国語を併記した、分かりやすい「警告の貼り紙」をする といった、具体的なアクションを取ってくれるはずです。
もし、管理組合が動いてくれなかったら…?もう一歩先の「最終手段」
さて、ここまでトラブル解決の基本は「まず、管理組合に相談すること」だと、お話ししてきました。
しかし、です。
「相談はした。でも、結局、貼り紙がされただけ…」「理事会が、及び腰で、何も強く言ってくれない…」
そんなもどかしくて、悔しい思いをすることも、決して少なくありません。
大丈夫。まだ諦めるのは早い。
そんな時のために、法律とルールは、私たちにもう一歩先の、より強力な「武器」をちゃんと用意してくれています。
解決策①:ルールそのものを、強くする―「管理規約」の改正―
もし、あなたのマンションの「憲法」である管理規約に、迷惑行為に対する具体的な罰則がなければ、理事会も強くは出られません。だったらその憲法そのものを、住民の手で強くしてしまえばいいのです。
あなたが、次の「総会」の議題として、具体的な「罰金ルール」などを盛り込んだ、規約の改正案を提案するのです。
しかし、規約の改正は決議要件も厳しく簡単なことではありません。
解決策②:外部の「プロの力」を、借りる―専門家による、警告と交渉―
理事会に「外部の専門家(弁護士に依頼するのが最善です。私のようなマンション管理士は内容証明を作成することはできません)を雇ってもらう」というのも、非常に有効な手段です。専門家の名前で「内容証明郵便」という、“本気の手紙”を送ってもらうだけで、事態が急展開することは、少なくありません。
解決策③:専門の“駆け込み寺”を利用する―マンション紛争解決センター―
裁判よりも、ずっと費用が安く、スピーディーに、専門家が間に入って、話し合いによる解決を目指してくれる、公的な機関(ADR機関)です。「公平な、第三者の力を借りる」。これもまた、非常にクレバーで、効果的な戦術です。
解決策④:最後の手段としての「法的手続き」―調停と少額訴訟―
そして、もし、それでも相手が態度を改めないなら。あなた個人でも、戦う道は残されています。話し合いでの解決を目指す「民事調停」や、60万円以下の金銭請求に使える、スピーディーな「少額訴訟」などです。
まとめ:最高の“お守り”は、あなたの「意識」と「知識」
最後に、マンションで最高の暮らしを送るための、一番大事な心構えをお伝えしますね。
それは、「自分は、一つの小さな“国”の、国民なのだ」と、意識することです。
マンションは、一つの共同体。そして「管理規約」は、その国の「憲法」です。
そこに住む全ての人が、お互いのことをほんの少しだけ思いやり、ルールを守って暮らす。
その、当たり前で、しかし一番難しいことができたとき、あなたのマンションは、ただの建物の塊じゃない、最高の「コミュニティ」に、生まれ変わるはずです。
ルールやマナーを守って、最高のマンションライフを、一緒に、送っていきましょうね!
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